ミッション1日目
福井県小浜市
若狭湾(わかさわん)と
御食国(みけつくに)
御食国(みけつくに)と
海の
発酵食(はっこうしょく)
文化を学ぼう!
-
まずは、福井県小浜市にある「御食国若狭おばま食文化館」で、「御食国大使」に任命されていた福井県立若狭高校の3年生の皆さんに、「御食国と海の発酵食文化」について教えてもらいます。
鯖(さば)のへしこや缶詰、小鯛の笹漬けなど、小浜には昔から伝わる代表的な海産物を使った食品が多数あります。その昔、若狭湾で採れる豊富な海産物などの豊富な食材を若狭から京都まで続く「鯖街道(さばかいどう)」を使って、約70kmという距離を人力で運んでいたそうです。 -
冷蔵庫のない時代に、資源を有効利用するために考えられた「発酵食(はっこうしょく)」。発酵することで生まれる乳酸菌などの微生物が、人間にとっての栄養になります。さらに、実はチョコレートも発酵食だということが判明し、みんなもびっくりしました。
資料ダウンロード
若狭から都まで運ぶ長い距離を魚を腐らせないようにどのように工夫していたの?」という質問には「塩をまぶして届けていた」という回答が。その道のりの過程で発酵が進み、旨味と甘味が増しておいしくなったのです。 -
パネル展示を見ながら日本の食文化について解説してもらいます。日本食の代表である「すし」のルーツを精巧な食品サンプルを見て、味に想像を膨らませます。「すし」という名前は「酸し」から始まっているそうで、小浜でも伝統的に受け継がれている「なれずし」は、古来からの発酵食品でなんです。
-
食文化館の床には、鯖街道のルートマップが広がっており、冷蔵庫のない時代に人間の足で小浜から京都までどんなルートで歩いて鯖を運んだのかがイメージできます。「京は遠ても十八里」と言われるそうですが、その距離は70km!!
小浜には様々な食品の名前が書かれた木簡が残っており、それらは今で言う宅急便の荷札のようなもの。いかに豊富な食材が運ばれていたのかを示す証拠になっているそうです。
若狭湾の漁港を調査しよう!
-
食の文化館で若狭湾の食文化の基本と歴史を学んだ後は、実際に海産物が獲れる漁港へ!毎日、新鮮な魚たちはどんなふうに水揚げされ、その後どこへ運ばれていくのかを、福井県漁業協同組合連合会の小浜市所長である加藤さんに詳しくお話をお聞きします。
小浜湾には流れ込む川が多く、それによって水流に豊富なプランクトンが含まれているそう。プランクトンを餌とする小さな魚が集まり、さらにその小さな魚を餌とする大きな魚も集まるため、幅広い種類の魚介類が水揚げされています。底引網漁や養殖なども盛ん。サバは漁獲量が大幅に減り、逆にサワラの漁獲量がここ数年で大きく増えています。地元では消費されずに、他県や外国に売られているという現状が。 -
サバ、サゴシ(サワラの養魚)、トビウオを観察。スーパーなどで見かける時は、すでに加工されたり調理されたりしているので、実寸大の魚は迫力がありますね。年間に1800トン、売り上げは10億円ほどにもなるという魚介類たちは、地元の魚屋さんや料理店のほか、県外に卸したり、海外へ輸出したりするものもあるそうです。
-
若狭湾で水揚げされた魚たちを保管するための冷蔵庫へ移動!1本あたり35kgの氷が1000本以上並ぶ圧倒的な空間と、-5度のキンキンの寒さにみんな大はしゃぎ。1日あたり300本もの氷を生産して、魚を冷やすために使われているそうです。-25度の冷蔵庫では、息が止まりそうになるほどの冷たさ!濡らしたタオルは振り回すとカチンコチンに凍ってしまいます。冷蔵庫がない時代を考えると、技術がこんなに進歩したんですね!
「雲龍丸」に乗って若狭湾の
地形や環境を調べよう!
-
若狭高校の実習船である「雲龍丸(うんりゅうまる)」に乗って、若狭湾沖に出て、海から見た若狭地域やリアス海岸を観察します。水中ドローンや環境観測器、タブレットなどの最新機器を用いて、どんなことが発見できるのでしょうか?
-
まずは、海中のプランクトンを調べます。細かい目の網を海に潜らせて、その水の中にいる生き物を電子顕微鏡で観察します。植物性から動物性まで、大小さまざまなプランクトンが元気に泳いでいる様子が見られます。小さなプランクトンは大きなプランクトンの餌になり、それをさらに魚が食べ、そして人間が食べる。これで「食物連鎖(しょくもつれんさ)」のイメージができますね!
-
次は、漁港でも話題になったサワラの漁獲量について、詳しく教えてもらいます。サバは獲れなくなったけど、なぜサワラは漁獲量が増えたのか?理由を調査すると、海水の温暖化が影響しているようです。数年の間に南で獲れていたサワラは、若狭湾のところまで北上していたのです。逆に、若狭湾で獲れていたブリは、北海道でも獲れるようになっていました。
-
最後は、レーダーを用いた環境観測機器と水中ドローンで、若狭湾の形や水中の様子をタブレットやモニターを見ながら観察。若狭湾は、元々山脈だった地域がそのまま海に沈んだために、このように複雑に入り組んだ海岸になっていて、日本でもかなり珍しいのだそうです。
1日目の調査隊、
お疲れ様でした!
若狭湾の海の発酵食文化と歴史、
そして、環境の変化による魚たちの実情など、
1日を通してたくさんのことを学びましたね。
歴史も環境もつながっていることを
体感できたのではないでしょうか?